廊下を歩いていると1人の生徒に声をかけられた。
「女子の水着、もう見れなっくて残念ですねー」
「本当だ、もう明日からなにを楽しみに……なななっ?」
背後から飛び出してきた声の主は……。
「小玉せんせっ♪」
「なんだ、楓か……ひっ人聞きの悪い事を言うなっ」
両親の連れ子同士で血はつながっていないが、再婚したのがお互い小さい頃だったから、お互い実の兄妹のように思っている
とはいえ大学に通うのに俺が親元を離れてから数年、まさか自分の受け持ちのクラスに楓がいるとは。
さらに加えて、楓も水泳部員だ。特に平泳ぎに素質を感じる。
「先生、また妹とイチャイチャですかー?」
「お義兄さんっ! 妹さんを僕にください!」
「はははっ、自慢の妹だぞ。
簡単に他の男にやれるもんか!」
「……もう、お兄ちゃんがそんなだから
あたしいつまでたっても彼氏作れないんだよー」
「はいはい、そうだ……楓はどうするんだ?
夏休み」
学校近くにアパートを借りている俺は、
実家住まいの楓の夏休みの予定はよく知らない。
「夏休み? んー、まだ決めてないよ。
部活もあるし。でもせっかくだし、
海にでも行ってみようかなぁ」
「お兄ちゃんは夏休み、貝南に行くんだっけ?」
「おう、研修開けに都合がつきそうだから、
ちょっと行ってみるつもりだ」
少し昔のことをしみじみと思い出す俺。
そんな俺に対し楓は、貝南の海を話し出してきた
再婚して間もなく引っ越しをしたので、楓は貝南町の思いではほとんどないはずだと思っていた。
「海の家、あったよね。二階建ての」
「え、よく覚えてるな、相当小さかったろ?
オバちゃん元気かな?」
ついでに寄ってみるか……。
「おみやげ、ちゃんと持って行くように」
「よくできた妹だなあ」
妹の楓と立ち話をすませると俺は職員室に向かった。
夕焼けの差し込める校舎。
プールサイドには怪しい影が3つあった。
「聞いてた?」
「ああ」
「決まりですわね……」
「日取りは」
「OK確認済み。研修の後って言ってたから」
「では、その日に合わせて」
と3人の影は密談をしていたらしい……
俺はここ数日のことを思い返す。
そう、いま海の家で働く3人娘は
偶然出会った運命ではなく、
謀られ出会った罠なのである。
と俺はため息を吐きつつも、注文が通った商品を渡す。
「ほいカレー1ラーメン2、上がったぞっ!」
「行ってきますっ、
追加で氷レモン、イチゴお願いしますっ」
「おうっ、京香かき氷頼むっ、二つだ!」
「わかりましたっ。
め、目が回る忙しさですわね……!」
忙しさを他所に俺は昨日の夜のことを思い出してしまう。
昨日の晩強引に薬を盛られ、しかもあんな事をして……
「一晩で、さ、三人……」
今にも鼻血を出しそうな位昨日の事を思い出している俺を
楓が現実に戻してくれる。
「ほら、お兄ちゃん!
今忙しいんだからぼ~っとしないで!
焼きおにぎり焦げているよ!」
「わっいかんいかん……よしと、
焼おにぎり三つ上がり……んっ?」
皿の上に熱々のおにぎりを三つ乗せて……。
▲▲
▼ ←こう並べてみると…
「あれっビキニに見えるぞコレ! ビキニ!
見てみろホラホラ、ビキニみたいだ! ほぉ~っ♪♪」
「……はっ!?」
正しくは、俺こと小玉公平が。
「水着に、目がなさ過ぎるばかりに……」
そう、この3人と海の家で出会ったその日に
あんな事になってしまうなんて……!
昨日の出来事がきっかけに、俺と楓、京香、ユキの4人と
この貝南亭を取り巻く、一夏の過激でアブナイ青春の
一ページが始まるのであった。
「しかたないよ」
「そうですわ」
「そうそう」
「だって、お兄ちゃんは、水着のシモベなんだから……!」 |