▼ストーリー▼
聖ルナリス学園。
月の女神と呼ばれるこの学園の創立者は凄腕のルーン使いだったそうでこの名前がつけられている。
魔法使いのための学園。ごく一般の人間だった俺は急にこの学園へ転入することになった。
右手の甲に浮き出た変なアザ。
これは魔法使いの王の証らしい。
「う~ん……王様ねぇ……」
アザを眺めながらうそ臭い話を思い返していた。
「丘守、私の授業がそんなに退屈か?」
「というより、ルーンとかいきなり言われてもさっぱりです。まず魔法の仕組みから教えてほしいなぁと……」
「そんな初歩は自分で何とかしてくれ。坂宮とかサンウェストとかに聞けば良いだろう。仲良いんだろ?」
「よくないです! 殺されます!」
坂宮梨絵は、家の方針で王継承者の俺と結婚させようとしているらしく、それが嫌で、結婚できなくなるために俺を亡き者にしようとする。
ルーミア=サンウェストは、ヨーロッパにあるらしい魔法王国の王族を守っていた家系らしい。
それなら守ってくれれば良いのだが、将来の王である俺を籠絡し、王国での一族の地位を高めるように命令されている。
俺との肉体的な接触は避け、精液だけを採取しようと魔法で精液だけを抜き取ろうと襲ってくる。
そこで授業終了のチャイムが鳴る。
そして始まる、魔の昼休みが。
既に二人の魔物は目を光らせている。
チャイムが鳴り終わると同時に部屋から脱出する。
「待ちなさい丘守! 今日こそは一生病院生活にしてあげるから!」
「ま、待てるかぁ!!」
自分が結婚をしたくないからと言って襲ってくる梨絵から必死で逃走する。廊下には昼休みだというのに人が全くいない。
梨絵が考えもなしに魔法をぶっ放すからみんなも被害に合わないように避難するようだ。
「くらえ、断端っ!(たちばな)」
梨絵の右手から放たれた火球が俺の耳元をかすめる。
そう、彼女は炎『も』操ることができる正真正銘・凄腕の魔法使いだ。
「死ぬかと思っ……あちち、うわあっ制服焦げてる!? あの暴力魔法同級生め……!」
俺との間に子供を作りたくないあまり、いっそ殺してしまおうと襲ってくる梨絵から命からがら逃げ出す真。
梨絵からほうほうの体で逃げ出した先でルーミアが現れる。
「逃げろやぉぉぉーーっ!」
「逃がさない……!」
「あっ足、ヒィィ痺れて動かないッ、
わあっ作り物みたいに冷たくなってるーー!」
彼女もまた、梨絵に勝るとも劣らない魔術の使い手だ。
その力は特殊の中の特別。人間の精気——血液・体液を
魔力で操ることができる。
「今から、あなたの精液を抜き取ります」
「ノーーーッ!! 『ます』じゃねぇよー!
どうなってんだこの学園! 殺すだの抜き取るだの!!」
「大丈夫、精子は傷つかないようにする。
陰茎と陰のうは二度と使い物にならない程度の痛みを
感じるはずだけど」
そこへ曜子が真を呼びつける校内放送が流れる。
「坂宮、サンウェスト今すぐ丘守を追い回すのを辞めなさい。そして至急丘守は私の仕事部屋まで来なさい」
「ヒィ、ヒィ……助かった……!
絶対死霊とか悪霊とかそういうのが見えてた……」
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