主人公・朝木弘樹(あさきひろき)は都内の学校に通う学生。
地方の親元をはなれ都内郊外のアパートで一人暮らしをしている。
いつもの日常、いつもの朝、いつもの登校……いや、遅刻! 大急ぎで起き出し、乱れている髪もそのままに家を駆け出し駅へと向かう。
「連続遅刻はさすがにヤバイ~~~!!!」
もうすぐ駅! 今到着した電車に乗り込めば間に合う。
「間に合う!!!」
しかし主人公は電車に気をとられるあまり、自分が道路を横断していることに気付いてなかった。
駅前の2車線だが非常に交通量の多い道路を……。
ブレーキ音。
迫るトラック。
運転手の慌てる顔が見えた気がした。
「へ? 死ぬ………?」
ホワイトアウトする視界。意外に冷静な最後の言葉。
景色が戻る。
少し離れたところに止まるトラック。
道路に尻餅をついている主人公。
騒然とする周囲。
「た、助かっ……た?」
電車の到着アナウンスが聞こえる。
「わ わ やばい!」
スクと立ち上がり駆け出す主人公。
なんだか身体が軽い気がした。
その夜―――
駅から自宅に向かってとぼとぼ歩く主人公。
「あーあ 結局遅刻してしまった……あと30秒……はぁ」
「それにしても、あのハゲ先公、いつか残りの毛むしってやる……はぁ…」
ブツブツ愚痴っている間に主人公の家の近くにある公園の前を通りかかる。公園の木々が風にゆれ、月が雲に隠れて無人の公園の闇を一層深くする。
少し怖気付いた主人公は公園から目をそらし歩み始めようとすると……
「ググ……一番乗りのようだ……」
いつの間にか進路の先にコートの男が立っている。
帽子を深くかぶっていて表情は見えない。
なんとも言えない違和感。
あってないような、感じていて感じていないような。
全ての音が止み、耳がキーンと唸る。
「同志よ。どうした? ググ……」
「ハハ……何かやな予感♪ そいえば駅前のコンビニに用事が……」
主人公は回れ右して駅前に引き返そうとする。
しかし、駅へ続く進路にもまた人影。
「君、そこを動くな……」
そこには奇天烈な衣装を身にまとった少女が立っている。
「魔法少女のコスプレイヤーかな……ハハ」
そうであればと願うが、先のコート男と同じような異様な雰囲気を感じる。
「ガイスト……この人間は頂く」
「ドール一匹で随分な自信だな……ググ」
主人公を挟んで取り交される会話。
そして主人公を挟んでの戦いが始まった。
少女の背中から宙へ広がった薄い透明な翼のようなものが漏斗形に変化する。それは中空を舞う浮き砲台のような。
その先から一斉に光線が放たれる。
その光線は―――
「お、俺を狙ってる!? ひいいいい!!」
果たして不運な主人公・弘樹の運命は如何に―――!?
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