「ククク。あきらめやがりましたね人間。覚悟するですよ!」
「し、死ぬとわかって簡単にあきらめるか!」
「チッ。どうしてもあきらめられない場合は、死に神の掟として一応言ってやりますが、1週間で誰か女子を孕ませれば10年だけ寿命が延びるです。でも瑠音が死神になって綺麗なお姉さま達とハーレムを作ろう計画に遅れが出るので却下です!」
「そんなもんのために死んでたまるか!」
和矢は瑠音に襲いかかって、自分のベッドの上に瑠音を引き倒す。
そしてシーツをロープ代わりに瑠音をグルグル巻きにしてしまった。
「この! 放せってんですよトーヘンボク!」
「うるさいよ! それよりこっちの質問に答えろ! 何で俺を襲うんだ」
和矢の問いに瑠音が尊大な態度で答える。
和矢の死期が近いので迎えに来たこと、1週間以内に女子を孕ませれば10年は延命できるという救済措置があることを。
「でもそれは却下です! 早くてめぇの魂(たま)をよこしやがれです!」
「暴れるなよ! 那美さんに怒られるだろ!」
「暴れて欲しくなかったらこれを解きやがれってんですよ!」
「うわっ!? ベッドの上で跳ねるな!」
和矢が瑠音を押さえ付けようとした矢先に、部屋のドアがノックされる。
「ヤバ! 那美さんが来たっ」
「和矢君、さっきから何を騒いでるんですか? 入りますよ」
和矢の部屋のドアを開けて入ってきた那美。
「うわぁ~ステキなお姉さま!」
身動きが取れないにもかかわらず、瑠音は那美を見た途端目を輝かせる。
一方で那美は、和矢のベッドの上でシーツで縛られている瑠音を見て絶句した。
「……か、和矢君が私の知らない女の子とコスプレ緊縛プレイ……!?」
「ちがーーーうっ!!」
和矢は那美を落ち着かせると、この死神コスプレ女子がコスプレじゃなく本物であること、その証拠に窓をすり抜けたこと、自分の魂を奪いに来ていること、1週間以内に女子を孕ませれば10年延命の余地があることを話した。
「……和矢君、もうちょっとマシな言い訳をして下さい」
「違うって那美さん信じてよ! 助けてよ! 俺の子供孕んでよぉ!」
「えぇっ!?」
那美はぼっと顔を真っ赤にする。
「か、からかってはダメです……! 私が、和矢君の子供を妊娠なんてそんな……」
「そうだ馬鹿面人間! 瑠音の那美お姉さまを巻き込むんじゃねぇですよ! お前の子供なんか誰も孕んじゃくれねぇってんですよ!」
「うるさいよ! お前を孕ませてもいいんだぞ」
「よおし! こうなったら寿命が延びるように瑠音も応援してやります!」
「えっ!? 和矢君!?」
和矢の瑠音を孕ませるという言葉に驚いた後、那美は怪訝な顔で二人を交互に見た。 |