「磯村家のお嬢様の言うことは、何でも聞くように―――」
小さい頃から両親に何度もそう言われて育ってきた僕・萩野謙吾(はぎの けんご)。代々磯村家に仕える使用人の家系で磯村家のお嬢様・磯村凛花(いそむら りんか)の下僕として毎日のように世話するのが僕の仕事だ。
そして、あの日も僕はお嬢様の荷物と自分の鞄を手に学園へと向かっていた。
「ほら、遅い。しっかりと持って」
「す、すみません、お嬢様」
僕より一歩先を優美な顔立ちと気高い雰囲気を漂わせた少女が歩いている。
幼い頃から絶対服従するように言われてきた対象・凛花さまである。
彼女は弓道部に所属していて、僕が持っているのはその弓道の弓や袴などの入った防具袋だった。
(毎日、クリーニングに出さないと気がすまないんだよな……)
彼女は部活で汚れた袴などを、毎日きちんと業者に出していた。
屋敷にもお手伝いさんがいて立派な洗濯機や乾燥機があるが、それではお気に召さないらしい。
「たく、それぐらいの荷物を運ぶだけで汗をかくなんて……、本当に使えないわね」
「す、すみません……」
「臭い! 汚い! 醜い!」
「はい……その通りです……」
少しでも逆らえば地獄のような罰が待っている。
トイレの便器を舐めさせられたり、便所の水につけた体操着を着せられたり……。思い出せば屈辱でふるえそうな素敵な思い出の数々。
絶対服従が最早僕の習性になっていた。
「あまり使えないようだと、お屋敷から追い出すからね」
「は、はい……、頑張ります」
「お前なんて誰も助けてくれないんだから。かまってももらえない。
お前に口をきいてあげる女性は私くらいよ」
「か、感謝しています……」
長年続いてきた主従関係、永遠のものと思っていた下僕生活。
それがある事をキッカケに大きく変わる事になる。
屈辱と人間以下の生活が終わり、お嬢様は奴隷に、僕は飼い主になるときが……!!
「これを入れて午後の授業を受けるんです。入れたら、パンツを履いてもいいですよ」
「……本気で言ってるの?」
「本気ですよ、もちろん……、嫌だなんて言わないですよね?」
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