「ちょ、ちょっと待て何を急に!!」
「何ってさっき説明したじゃないか。
俺と母さんはべガスに1週間ほど旅行に行ってくる」
「はぁ!?」
「もちろんべガスなんだがらおこちゃまはお留守番だ」
「なん……だと……?」

つまりするってーと何か……?
この家には一週間ばかし俺とゆずの二人っきりってことか……!?

「い、いやいや!? 急にそんな事言われても!」

準備ってものがあるだろう!?
こ、こんな状況にノープランなんてたまったもんじゃない……
初デートだってそうだろう?前日寝ないでプランを考えるものだろう!?

「まぁ和己はしっかりしてるから大丈夫だろう。ちょっとしたサプライズだ」
「サプライズすぎるわっ!!」
「ゆずをしっかり見てやってくれ」
「あ、あぁ……それはわかってる」

見るさもちろん! そんな事親父に言われるまでもなく!

「じゃあOKだな!! では行ってくる。
あ、そうそう、坂下さんと一緒に旅行なんで、
美夏ちゃんのこともよろしくな!!
12時に駅前で待ってるそうなんでよろしく!!」
「おいまてこら親父! 今なんつった!! おい〜……行っちまった……」

馬鹿な……こんな展開が……
当日に発覚するなどあってはならないのではないか……美夏までも……?

「いやいや待て待て、冷静になれ俺… こんなチャンスはめったにない…
焦ってはこの貴重な時間を無駄にしてしまう……」

こ、こんなチャンスはめったにない……
いつも邪魔な両親の手前、抑えてきた衝動が解かれる時が来るなんて…

「これで妹にべったりいちゃいちゃできるぜひゃっほーぅ!!!」
「うん。お兄ちゃんおはよう〜」

トレードマークの真っ白いワンピース姿で、
玄関まできたのが我が最愛にして最強の妹ゆず。

「お、おはよぅ……ゆずは今日もキュートだね」
「?? ところでお父さんとお母さんは?」
「それは朝ご飯の時に説明してあげるから、とりあえず顔を洗ってきてな」

スカートから覗く、見慣れたはずの妹の素足に
妙な興奮を覚えた俺は、頭を冷やすため、そう促す。

(両親という枷を失った俺の愛ってやつは……正直な奴め……)

*********

「え〜じゃあ一週間お兄ちゃんと二人っきりなの?」
「あ、あぁそうなるな」

朝食を食べながらゆずに事の経緯を説明する。

「やった〜!! お兄ちゃんといっぱい遊べるね!」
「はぅあっ!!!」

(なんという妹の無邪気さの破壊力……)

そしてそのまま美夏の件も話しておく。

「なんでそろそろ美夏を迎えに行くか。ゆずも行くか?」
「うんっ!」

*********

「あっ! お兄ちゃん見て! 美夏ちゃんだよ!!」
「ど、どこだっ!?」

反射的に前を向いた目の前に、以前にあった頃から変わらない、
俺のもう一人の妹——美夏がいた。

「美夏ーーーーーーーーーーーっ!!」

俺はわかりやすいように片手を大きく振りながら大声で呼びかける。
すたすたと美夏はこちらに歩いてくる。

「そ、そんなに大声ださなくても聞こえてるわよ、は、恥ずかしいじゃない…」
「美夏とすぐに会いたかったからな。しょうがない」
「あ、そう……なんだ……」
「ああ、美夏は前の可愛いまんまだったからな。すぐに分かったよ」
「それって成長してないって事?」

ムスっとした顔の美夏。

「美夏は美夏だからな。成長しようがしまいが可愛いぞ」
「そ、そう……ふ〜ん……」

顔をうつむけ、つま先をつんつんとしだした。
この可愛い女の子が坂下美夏。
今回の旅行で預かる事になった俺のもう一人の妹だ。
ゆず同様に俺は美夏の事も大好きだ。
昔は毎日のように結婚してねと求められ、
その度にOKを出しているにも関わらず、
おじさんにはははと笑われる始末だ。
俺は本気なのに。
いつ美夏が和兄に始めてをもらってほしいと言ってくるかわからない。
いつでも良いようにこの身体は他の女の
ぬくもりなどを感じた事は一度もない。

「俺はいつでもOKだぞ美夏!!」
「なにがOKなのよ」
「…………あ、あれだ、これから一週間の事だ」
「そう……」
「ねぇねぇ、それよりお買い物していこうよ〜せっかく美夏ちゃんも来たんだし」
「そうだな、せっかくだし俺の手料理をごちそうしてあげよう」
「和兄料理なんてつくれるの?」
「あのね〜すっごい上手なんだよ!!」
「俺の手料理で美夏なんかメロメロになってしまうぞ」
「な、ならないわよっ!!」

————こうして、妹二人と俺の3人だけでの1週間の夏休みが始まった。