主人公は山間の町・林隠市にある唯一の学校、林隠学園に通う三年生。
学園の生徒会長を務める主人公には、もう一つの裏の顔があった。
”輪姦倶楽部”の長としての顔が……。
古事記にもその名を記された古い町・林隠には千年以上伝わる闇の儀式があった。
その儀式とは、地域の守り神・石長比売(イワナガヒメ)の呪いで起こるとされる病害や不作から地域を守るため、新月と満月の晩に、石長比売が恨む木花之佐久夜毘売(コノハナノサクヤビメ)に扮した巫女を半月の間、集を持って輪淫すなわち輪姦して貶める事によって石長比売の怒りを鎮めるという儀式だ。
巫女は輪姦に参加する男の大切な存在、つまりは恋人や妻、母や娘、姉や妹などの血縁者でなくてはならず、輪姦後、懐妊すれば石長比売の怒りが収まったとされ、地域の安全や豊穣が約束されるとされた。しかし懐妊しなかった巫女は石長比売の怒りを鎮めるためさらに、巫女を男性の精液を満たした藁で簀巻きにして、生きたまま川へ流し生贄とされた。
そして現在―――儀式は歴史の闇に消えることなく大正以降は林隠学園の中で生き続け、秘密結社・輪姦倶楽部の活動として淫らで残酷な伝統が受け継がれていた。
代々、学園の生徒会長が輪姦倶楽部の長を務め、1日も絶やす事なく、多くの女性を白濁と悦虐の闇の中へと沈めてきたのだ。
―――7月14日早朝。
町を囲む山林に冷やされて校舎へ届く風は涼しい。
朝もやの中、山中聡は妹・山中知美を連れて、主人公の待つ旧校舎へと向ってくる。
「ねえ? お兄ちゃん。どこへ行くの?」
「うん……もうちょっと」
旧校舎は封鎖こそされていないが老朽化が進み、今はほとんど使われていない。忘れられ朽ちるばかりの校舎の中に、輪姦倶楽部の”部室”があった。
「あ、会長。おはよう御座います。その……妹を連れてきました」
「そう、早かったね聡君」
「あの……もしかして生徒会長さん?」
訝しげに私に話しかけてくる知美。
無理もないだろう。彼女がわざわざ旧校舎へやって来たのは主人公と会うためではない。
「フフ……山中知美さんだね? さあ、中へ」
主人公は笑みを浮かべ、二人を旧校舎の最深部へ誘う。
聡は主人公に会釈をすると中へ、どこか不安そうな知美も兄が入ってしまってので、続いて中に入る。その瞬間、旧校舎の澱んだ闇から伸びたどす黒い鎖が彼女の肢体に巻きついてゆくのを、主人公は確かに知覚した。また一つ、また一つと。
今日も町に息づく闇の歴史の執行人たる主人公の一日が始まろうとしていた……! |